善光寺門前の路地の魅力と新しい動き |
一年を通して参拝客があふれる善光寺境内は、長野市の中の別世界。ローマーのバチカンのような、といったら、いい過ぎでしょうか。
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善光寺にいらしたら、仲見世のお土産物屋の賑やかな通りに平行して、外側に東西に一本ずつ、39の宿坊が並ぶ通りを歩くことをお勧めします。坊は浄土宗で14坊、院は天台宗で25院あります。ひっそりとした小路に並ぶ院坊は、少しづつ違いますが、お御堂があり住職がいて、もちろん宿泊可能です。ここにこそ善光寺の秘密の鍵があるような気がしています。
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ここ2、3年善光寺界隈に少し変化が起きています。30〜40歳の世代が、住む人のいなくなった古い住宅に住み始め、そこをオフィスにしたり、カフェにしたりしています。お金を掛けない改装で、中古家具などを配して、温かな気持ちいい空間を作り出しています。
その中心で活動しているのが、「ナノグラフィカ」という信州大学を卒業して長野に住みつき、演劇・音楽や編集作業などを展開しているグループです。「長野・門前暮らしのすすめ」という、プロジェクトを立ち上げ、空き家調査や空き家探検などを始めています。そのHPにはこんなコメントがあります。
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近年、門前町には空き家や空き地、それを利用したパーキングが増え、また住民の高齢化が進んでいます。
私たちはこの町で生活する中で
「みんなで楽しみながら暮らすことが、街に活気をもたらすんじゃないか」
「空いている家に人が住んだら、街はもっと元気になるんじゃないか」
との想いを持ちました。
そうして始まったのが「長野・門前暮らしのすすめ」です。
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そんな彼らに引っ張られるように、閉じられていた店が、若い夫婦による小さなレストランになったり、ニューヨークで額縁作りを学んできた人がギャラリー兼カフェを開いたり、街中にはないサスティナブルな雰囲気を善光寺近くの小道にかもし出しています。それが古くからあるお店にも元気を与えているようです。
今回原稿をお願いした二人も長野の若い世代です。小林竜太郎さんは、郷土史を新しい視点で見直し、まちづくりと結び付けてくれています。善光寺表参道のまち歩きの案内人育成も担っています。山口美緒さんは編集者兼ライターで、柔らかな眼差しで地域やものをウォッチングしています。彼女は善光寺界隈の古い工場を改装した中に事務所を持ち、活動しています。彼らは「ボンクラ」という集団で、建築家からライター、デザイナー…不動産業担当まで、多面的な仕事人が揃っています。これからの長野のまちづくりの推進力になってくれるのではと期待しています。
長野にいらしたら、小林さんの説明を参考に歴史ある善光寺の小路を歩き、少し足を延ばして路地の奥などにある隠れスペースを探して、彼らと話をしてください。
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石川利江(ISHIKAWA地域文化企画室代表) |
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