◆諏訪市はもう少し時間をかけてがんばっていく |
山田 |
各地域がその場所をかなり大切にしている。諏訪市はもう少しかかるが、もう少しがんばれる。路地などに人が溜まるなど、やすらぎなどを中心としたまちづくりが展開されるとうれしい。 |
◆路地には結界性がある。こっそり入って楽しむのが一番 |
宮坂 |
子どもの頃の原風景に路地はある。路地に入り込むのは生活をのぞき見るような、他人の生活の中に踏み込んでしまう危うさを持っている。 |
今井 |
第2回大阪サミットで、路地には結界性があることで、安心して暮らせると報告があった。 |
日置 |
気楽に入れる路地になってほしくない。こっそり入って自分が好きな場所を見つけて初めて路地の魅力が保たれる。神楽坂でマップや標識をつくるとき、どこまで示すのか、観光で脚光を浴びるほど悩んでいる。 |
石川 |
松代は、最初は人なんか来なくていいと言われた。最近は雰囲気が変わってきて、外から人が来ることで、自分たちが元気なるとか、なにか新しい発見がある。 |
今井 |
小和田地区の住民としては、ぞろぞろ人が歩くという事態は、歓迎すべきことか。 |
小松 |
地元の利用しか考えたことがない。今はそんなに魅力を感じていない。 |
真野 |
面白い路地、面白くない路地は確かにある。向島も園芸や昭和何十年代かの雰囲気が残っていて、隠れたブームになっている。住んでいる人は荒らしてほしくない。まちは、住んでいる人だけのものではなく、適度なうまい付き合い方、こっそり入るのが丁度いい。 |
◆路地の魅力。表通りと裏通りがセットになってまちの魅力が高まる。 |
勝又 |
川越は藏づくりの街並みが観光のメインであるが、まちは奥行きというものがあって、表側と裏側がセットである。路地空間まで人を入れようと、菓子屋横丁という菓子屋が並んでいる路地を整備している。歴史的地区環境整備街路事業で、石畳の道を整備して路地空間を演出している。 |
今井 |
表と裏がそれぞれの役割分担して、まちとして全体的に魅力ができ、深まる。 |
◆路地園芸は路地のまちづくりに効果があるか。 |
今井 |
路地は表通りとは違う作法がいる。その一つとして、路地園芸がある。路地園芸をみんなでやってまちづくりにつながるのか。北区の公社は、十条の取り組み後を考えているか。 |
寺田 |
北区まちづくり公社では、路地園芸推進プロジェクトを参考に、美化ボランティアの活動を支援し、地域の方々に身近な花植えからまちづくりに携わる活動を支援している。 |
今井 |
少なくともインパクトはあったかもしれない。路地園芸は諏訪で使えるか。 |
山田 |
公道に園芸があふれてくると、行政としては良いとは言えない。宮ノ前で花を配って家庭の前に植えてもらう取り組みをしている。今度、街路樹の低木をやめ、花畑みたいな、路地園芸のようなことを公共の場所でできたら面白いと思う。 |
今井 |
神楽坂は、園芸や店のしつらえがあって、ピンコロ石の舗装とマッチしている。粋なまちを標語にしているが、自主的にああいうことをやっているのか。 |
日置 |
神楽坂の魅力は一つ一つの店が、いかに神楽坂にあった工夫をしてくれるかにかかっている。神楽坂全部が料亭などの路地ではない。熱海湯横丁などは、銭湯や普通の飲み屋があって、昭和のまちみたいなもの。新宿区がプランターや苗の無料配布をしているので、神楽坂地域の住宅街ではけっこう季節毎に花がある。 |
◆まちの人が自分のまちの魅力に気づいていない |
日置 |
神楽坂全体としては良くなっている。神楽坂の良さをわかる外の人が、神楽坂の中に店を作ると一番神楽坂らしくなる。路地のまちの雰囲気を保つためには、意外と地元の人が神楽坂の良さをわからなくて、相続の時にマンションに売って、1階が自転車置き場になってしまう。 |
五味 |
諏訪の良さをわかっていない人が多いことを感じている。ハウスメーカーのプレファブ住宅が全国一建っており、街並みを崩している。文化とか歴史とかを無視したものが多い。 |
今井 |
地域の方々が、自分たちの持っている資源の魅力に気づかないと、それを守ることもできないし、それを活かすこともできない。外部の目が必要な場合もある。 |
石川 |
善光寺の表参道は、代々残ってきた店が閉めている。メインストリートとしての魅力に対して、自分の店がどうであるかということを一切考えない。まちに対して意識を持っていない。 |
◆まちづくりは中と外のパートナーシップで |
石川 |
善光寺の藤屋という本陣を、東京の会社が建物をそのままで靴で入れるようにして、バーやレストランを作り、週末は結婚式場として使って非常に人が入っている。まちづくりはノウハウやビジネスレベルで、外の人と中の人が出会って、お互いに響きあって、何かができていく。中の人は何か結果が見えたときに、初めて動きが始まる。 |
真野 |
向島は、いろんな人たちがパートナーシップを組んでいる。緩やかな連携もあれば、きつい連携も、対立もしながら新しいものを生み出している。大学と地域が一対一ではなく、いろんな大学やいろんな研究室が個人できている。お互いに縛りあわないが、お互いの動きはよく見ている。それを一つの組織のもとでやるとそんな風には行かないし、地域でだいぶ違いが出てくると思う。私も戦略を練ってつきあっている。路地園芸のようなきっかけがあれば、コミュニケーションもできる。
園芸やればどうぞという補助金はやらない方がいい。メインストリートの方に投資する方がいいと思う。路地を見つめていくと、究極はまち全体のアイデンティティやビジョンを考えていく仕掛けだと思う。路地だけではなく、表と裏、本当に重要な問題を考えながらやっていくといい。 |
今井 |
諏訪の「辻と小径の景観事業」は、路地だけじゃなくて通り、辻、いろんな通りを含んでいる。いろんなきっかけの作り方がある。空堀では、外の不動産屋が空いたところを面白いものに作り替えビジネスをはじめている。 |
吉野 |
本格的な町屋をマンションに建て替えるときに、家主に対して、このままでもサブリースでビジネスモデルをつくれば税金が払っていけると、空堀倶楽部が間に入った。不動産の専門家が入って、町屋の改造費用を家主、借り手、テナントの3者が負担する形でやっている。今までに長屋も含めて4〜5の物件を、家賃的に幅を持たせて対応している。「惣(そう)」の2号館は、町屋バンクという法人をつくって、外から入ってサブリースをしている。 |
◆まちづくりにおける事業の活用方法 |
今井 |
諏訪市の辻と景観の事業は思い切った、行政側の踏み込んだ事業だと思う。碧南市では行政が路地とかまちづくりに対して、何か支援をやっているか。 |
金子 |
碧南市では、これから路地をどうしようかと考えている。諏訪市を参考にしたいが、これだけの費用が出せるか問題。碧南市は住民がなかなか動かない、行政任せである。 |
今井 |
諏訪市民が自分たちのまちの魅力を見つけて、それとどの様に付き合うか、具体的な景観の利用を組み立てていく。いくつかの段階を経なければならない。 |
真野 |
この制度が大事な骨組みとして、この中でどんな空間を沿道の人たちが価値や財産として共有できるかが大事。それをシミュレーションなり、模型をつくったり、いろんなことをやって、実現化するところに力を注ぐ。最初は、入りやすいものがいい。1,000万円まで出さなくても、ソフトの部分は300万円とか、入り方は地域による。 |
◆文化としての風景 |
山田 |
この事業でやろうとしているのは、街並みを新しくするのか、昔を取り戻すのか考えること。今やり始めないと、私達の頭の片隅に覚えている昔の景色が、解らなくなってしまう。子どもの頃の景色を、今のこども達に見せておく必要があるのではないか。観光地を作ろうということではない。 |
今井 |
昔の思い出をどうするか、モダンとレトロが混じっているところの魅力。 |
伊達 |
技術的には難しくない。難しいのは心。歴史的なまちづくりで気になっているのは、ぴか一の、表通りのところばかり一所懸命やること。B級の歴史的まちづくり、路地などの営々と築いて来た生活空間、それ自体が地域の文化的な風景として育てていってほしい。諏訪も裏に蔵のある立派な住宅があり、これをきちんと文化の風景としてやってほしい。 |
今井 |
まちづくりは総合性、いろんな面からやる必要がある。 |
◆まちづくりは人 |
日置 |
神楽坂では高層建築が1・ 2階削っただけで実現して、まちの景観が変わってしまった。まちづくりのコミュニティ、人のつながりは、あの連戦連敗の戦いであっても負けずに戦ってきた人達がいなかったら今日はないと思う。一つのプロジェクトには、必ず引っ張る人が出て、その人についていく人が出たものは、うまくいっている。神楽坂もそういう人が出てこなかった何年間は沈滞していた。 |
今井 |
上諏訪街道21は主要人物が転職して、困っているのでは。 |
宮坂 |
まちづくりは、住んでいる人や、まちを本当に好きな人が、活動したり意見を聞いたりすることが必要。今の時代、商店街はそこまでの精神的な余裕がない。小布施では景観協議会や建築士の集団、川越では東京の皆さんががんばっている。小布施や川越では確かに人は来ているが、一般の商店にはそれほど変化はないのではないか。人はたくさん来ても客層がまったく変わって、既存の商店をうまくいかせる町おこしは難しい。表通りがあってこその路地で、路地だけで街の活性化というものを考えるのは難しいと思う。 |
今井 |
飲んべえいくら集めても家具が売れることはないということ。川越も商店の人は、蔵をやっても潤っていないと思っているか。 |
勝又 |
川越の商店は観光客相手ではないし、観光客をターゲットに街並み整備をやってきたわけではない。東京からの日帰りのおばさんグループは、お金を落とさない。NPO蔵の会を立ち上げたとき、住環境に配慮したまちづくりに主眼があった。街並み整備をすれば自然に観光客は増えていく。 |
石川 |
地域は、ある程度外の人間が出たり入ったりしている方が健全ではないか。松代も最初は、地元の方は何をやっているんだという感じだった。ドアが少し開いて、風が入って、いきいきしたという感じを持ち始めている。
呑みあるきは10倍面白くできるイベントだと思う。まだ足りない要素はいっぱいあって、素晴らしいロケーションやいろんなものを持っている。辻と小径の景観づくりを進めていく上で、文化的な仕掛けとハードを重ねていく。小路の名前がいい。河合曽良が育ったところが舞姫と麗人の間にあって、俳句をテーマとした界隈にするとか。何人もの文学者や画家などが出ている地域で、人の物語も今後の景観づくりに重ねていってほしい。 |
沖野 |
諏訪市で、こういう会合や調査があって、みんな異口同音に、こんなにアメニティ資源の多いところはないと言う。まちの人がまちを見る習慣ができると、まちが良くなると思う。 |
◆まとめ |
今井 |
辻と小径の景観を魅力的にしていくには、どの様に今後進めていったらよいか、提言を一言ずついただきたい。 |
真野 |
この事業は、どういう流れでここの計画を作るか、そこの部分にお金は出るのか、人間は出るのかがない。最初の背中を押してくれる景観アドバイザーがいるのかというあたりが見えにくい事業。
ソフトとか一つのテーマ性を持った展開というものが必要。モデルケースをまずやる。ああいう風にすればこうなると、はじめにそういうものも必要ではないか。 |
日置 |
まさに行動だと思う。一つ一つ実績を積むと頭の硬い人たちも、これでいいのかと、これに乗った方が得かなと、そういう感じになると一気にいいスパイラルに入る。一つでも形を作って見せること。動くには人。まちや暮らしが関わってくることは、女性と若い人の発想が入っていないところはだめ。神楽坂がうまくいくときは、いろんな人が集まってきたとき。 |
大和田 |
浜松まちづくりセンターで必ずやるのは、地域に入って様子を見て、直接女性に声をかける。外の人がこのまちはこんなにいいところだと言うと、何それと言うことで、それが一人二人と増えてきている。 |
山田 |
本当にありがとうございました。若い女性の方は忙しいからと、なかなか集まらない。各地の話を聞くと、民間の方々が力を持っている。これは、諏訪にはちょっと足りないところだと思う。駅前で女性のパワーだけで女将さん市というのが始まっていて、一つのきっかけになりつつある。その辺とネットワークを組みながらやっていけたら面白いまちになるのではないか。
私たちが小さい頃見てきた心温まる風景、原風景を構築していく時代にあるのではないかと思う。こうして、全国で路地サミットがおこなっていることでは、方向性は間違っていないと思う。こういうことが日本全国に拡がれば、自ずから全体が動く時が来るんではないか。 |
今井 |
諏訪市の未来は明るいと、いろんな取り組みを見ていただければいい。諏訪は資源は豊富で、魅力あるまちができるところです。是非がんばっていただきたい。今日外から来られた方、是非力を貸していただければと思います。 |
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