roji roji roji roji roji 路地St.2009in小鹿野レポート roji roji roji roji roji 

 埼玉県秩父郡小鹿野町で第1回の路地ST.(ろじスタ)が開催された。この路地ST.はまさに住民手作りの路地をステージやスタジオにしたまちづくりイベントである。その概要を以下にレポートする。
写真は以下の方々にご協力いただきました。ありがとうございました。
 小鹿野町事業計画課高橋氏、小鹿野町広報担当、埼玉県都市計画課石川氏
開催日時 平成21年6月6日(土) 10:00〜16:00
会場 小鹿野町中心市街地、夢鹿蔵
主催 おがの路地まち研究会、バンビサービス協同組合、小鹿野町、全国路地のまち連絡協議会
協賛 NPOつげの会
後援 NPO日本都市計画家協会、埼玉県、埼玉県商工会連合会、西秩父商工会、埼玉新聞社
参加者
700名 主催者(非公式)発表
1.小鹿野町案内図、イベントチラシ
小鹿野散策マップ
(まち歩きツアー用)
当日配布パンフレット
小鹿野町建物・路地マップ
2.イベントレポート
路地St.本部&銘仙カフェ=旧本陣寿旅館
 路地St.の本部は小鹿野町が買い取った旧本陣寿旅館。
 スタッフ詰め所、銘仙カフェ、隈取体験コーナー、各種イベント受付となっています。
 総合受付は、出窓風の元たばこ売場。この一画だけでも博物館で保存したい風情です。
 隈取体験は、スタッフに描いてもらうことも、隈取のパターンを並べたサンプルががあり自分たちで描くこともできます。ちなみに、隈取は水性絵の具で、水で綺麗に落とせます。
 銘仙カフェは、元旅館ロビーを利用。秩父銘仙を着たスタッフが給仕します。
 総合受付脇の人形は町役場職員製作の「カブナリ君」。街なかのカブナリ君を捜すスタンプラリーもあります。
開始直前の本部
既に隈取をしているスタッフ
右端にカブナリ君
総合案内窓口はたばこ売場
この裏側はスタッフ休憩所
銘仙カフェ
銘仙を着た美人?が給仕します
銘仙カフェスタッフ
カブナリ君はずっとここに
本部は隈取体験会場 赤ちゃんも隈取
隈取を描く人も交代
こども達もその気になって
イベントを盛り上げています。
隈取すると揚げだんごが・・
縁台に隈取パターンがおいてあります この受付は怖いかも・・・
この人は町役場の人
カブナリ君の作成者でもある
受付裏のスタッフルーム
まじめに酒類はおいてない
えらい!
路地BOXart展・花で演出
 まさに路地がスタジオ!
 路地にすごい数のBOXartが展示してありました。これに加えてモビールやイーゼルアートなど、よくぞこんなにも揃えました。
 また、一輪挿し風の生け花もあり、展示が良ければいいほど、バックのブロック塀やトタン塀・ネットフェンスが無粋に見えてしまいますね。
村上酒店脇の路地 ボックスにアートが展示
入らないものは上に置いてある
BOXartの一例 モビール展示
ブロック塀何とかしたい
愛宕座脇のネットフェンスにはずらりと
板塀にもBOXart+イーゼルart BOXartに混じって一輪挿しによる花の演出 縫製工場跡の路地も会場に
小鹿野まち中で文化祭
 小鹿野のメインストリート沿いではそこここが展示スペースになっています。
 展示物の前にテーブルや椅子がしつらえてあり、あちこちでコミュニケーションが生まれていました。商店街の原型、市を思わせますね。こんなことが、中心市街地の活性化の端緒になるのではないでしょうか。
 しかし、小鹿野のBOXartを含めたこの展示物の量は恐るべし。
モビールアート ガレージがギャラリーに
電器屋?には布袋さん? 石膏?の人型アート ここもガレージか?
談話スペースも
ここでもコミュニケーションが 糸を紡ぐ糸車など古い道具を展示、人がいれば会話が生まれますね 左のウィンドーの中には
小鹿野東映の半天が
駐車場?の奥と手前に
微妙な関係?
作業服屋さんもギャラリーに
左にはバイクの街小鹿野のロゴ入りカート
左の展示物はバイク野郎の
肖像画?イラスト?
夢鹿蔵にあったものかな?
投句ボードが並びます 寝具屋さんは手ぬぐいを展示 昔、お中元などに小鹿野の商店が配ったもの
これは展示か?ワゴンセールか? 展示?干してある? やっぱり展示だよね
おてらいぶ(十輪寺)
 十輪寺はマルチに活用され、お寺でライブ=おてらいぶ、クラフト市、屋台村、紙芝居、歌舞伎写真展、そして参道の住宅は臨時喫茶に。
 ライブには、ポップスや三味線、お琴等々多彩に展開。雨が降っていたので、本堂の軒先を急遽借用、基壇がステージになって、気分が高まっています。
 本堂の中では歌舞伎写真が所狭しと並べられています。
参道入口
クラフト市の看板が
山門
気持ちが高まりますね
屋台村 本堂正面の軒先
基壇がステージに
この女性デュオは大学声楽科在席の地元の人材
三味線と謡い 琴の連奏 雨の中傘をさしながら
参道の住宅が喫茶に 山門の前では紙芝居
子供が集まっています
本堂の歌舞伎写真展
迫力の祭太鼓(愛宕神社)
 小鹿野と言えば「春祭り」。また、秩父と言えば「夜祭り」。その祭太鼓3団体が太鼓をたたき合います。その響きは、会場を超えてまちじゅうに響きわたり、まるで近くのスピーカーから流れているようです。
 小鹿野は子供歌舞伎もあり、こども達に伝統芸能が立派に受け継がれています。
 雨で広場がぬかるんで残念でしたが、一隅の屋台には、埼玉県の「第5回彩の国鍋合戦(和光市商工会主催)協賛社特別賞」を受賞したもつ鍋うどんをはじめ、キムチコロッケ、手羽餃子などB級グルメが並びます。
 もつ鍋うどんを食べた司波世話人は「ボリュームがあってうまい!」と言っておられました。
愛宕神社 祭太鼓と屋台
こども達も立派な演者 社務所もステージに
真剣なまなざしが凛々しい お楽しみ屋台 紙芝居も出張
プロの太鼓演舞
 小鹿野には、新潟の佐渡から来た女性の太鼓名人がいました!その迫力、打ち姿、そして演奏、魅せられました〜、聞き惚れました〜。
 まちづくりのためならと仲間と協力してくれたそうです。
 この女性あちこちに出没しては、街のイベントを盛り上げていました。えらい!
まずはオープニングに景気づけ 愛宕座では3人で、ジャンプも
本部の景気づけに独演 夢鹿蔵前で 今度は男性のみで
埼玉の路地展(夢鹿蔵)
 元埼玉銀行の繭蔵を改修した夢鹿蔵。奥の喫茶スペースが「埼玉の路地展」会場に。路地協の世話人各氏はここでビールを飽きるほど飲んでいた模様。
 駐車場では、竹とんぼなどの昔遊びや揚げだんごの販売、スタンプラリーの抽選などの会場となっています。
 まちじゅうに出没する太鼓の美女は、今度は一つ歯の高下駄を履いて登場!これがなかなか立てないんだ!
夢鹿蔵全景 スタンプラリー抽選会場
奥は揚げだんご売場、隈取や着物を着ていくとサービス
「埼玉の路地」展会場入口 一つの市でA3が2〜3枚 太鼓美人が一本歯下駄を持って登場、子供が挑戦中
 埼玉の路地展は、川越、鴻巣、東松山、狭山、熊谷、岩槻、浦和玉蔵院、浦和裏門通り、大宮東口大門町、桶川宿、小川町小京都、ふじみ野市、栗橋町静御前墳堂参道、行田市、草加宿、所沢、鳩ヶ谷などが展示されました。
う〜ん、もう少し大きい方が良かったかな 埼玉の路地展パネルはNPOつげの会のホームページで見ることができます。 一本歯下駄は渋谷履物店の出し物
須崎旅館着付けワークショップ
 須崎旅館では、小鹿野が生んだ女流作家「大谷藤子展」を行っていました。
 また、着付けの師匠さんが着て、着物の着付け教室を行いました。某都市計画事務所でインターンシップしている女子大生がモデルとなっていました。着付けが終了した後は小鹿野の街を流して、楽しそうです。
須崎旅館入り口 エントランスの展示
着物と書籍の展示 着付け教室 待合スペース
小鹿野街並みツアー
 小鹿野街並みツアーがイベントを行っている街なかを行きます。ツアーガイドは元校長先生だそうです。非常に物腰の低い方で、丁寧な解説でした。
 いきなり、醤油の看板出ている村上酒店(元醤油醸造蔵)店内を、失礼しま〜すと裏に抜けて、見事な内庭を通り過ぎ、元醤油蔵のあったところで解説。ツアーは天気もすっかり良くなり代官所跡などを回っていきます。
ツアースタート
先頭が元校長先生
村上酒店の店を抜けて
見事な内庭 元醤油蔵のあったところで 日が照ってきて暑い!
そのほか点描
 この日は、着物を着てくると何か得する!ということでまちの中を着物を着た女性が歩いていきます。なぜかそれを追っかける高級一眼レフを持った人々も!?
 町役場職員手製のカブナリ君を捜せ!スタンプラリー。全部集めるとなにかが・・・。
 そのほか、街を点描してみました。
鷹巣下薬師堂前で着物でパチリ カブナリ君見つけた〜
陶磁器市、小鹿野は焼き物が盛んで、あちこちで売られていました。 紙芝居に集まるこども達。手にはアンズ飴が!懐かしいですね。後ろは100円餃子の店。 古いレジスター
大田甘池堂
蓄音機とツツジ?さつき? ツツジ?さつき? この季節だけ食べられる「つとっこ」は赤飯を栃の葉で巻いたちまきのようなもの
3.懇親会
 路地St.の締めくくりとして、懇親会に突入。
 高橋京子会長が「来年もやるよ!」と一声、町長さんも「来年も予算をつける」と応えた!
 路地協を代表して、今井世話人が路地を壊してはいかんと言ってたかどうだか、後は良く覚えていません。
 高橋会長曰く、渋谷京子ちゃんがいたからできた!彼女のパワーはすごい!と持ち上げっぱなし。
 いやはや、やっぱり女性のパワーはすごいと実感して2時過半の帰途につきました。
高橋会長挨拶
来年もやるぞ!
関口町長
来年も予算をつけます!
小鹿野町にどっぷりの都市計画コンサルタント猪瀬氏 今井世話人もいきなり指名され何話したっけ? 乾杯前の神妙な一同
乾杯後の・・・ 小鹿野名物懇親会の隈取大会、歌舞伎のポーズで これが小鹿野の最強タッグ!
ダブル京子!!
4.編集後記

 小鹿野の路地St.を一訪問者として参加してみて思ったことは、歌舞伎などの伝統芸能を住民が守っているまちは、底力がすごいということだった。

 前に2月の土曜日に小鹿野を訪れた時は、中心市街地の店は閉まっているは、空家や駐車場は山ほどあるは、人通りはないは、路線バスは人を乗せずにクラクションを鳴らして通り抜けていくはで、「そんな街でこのイベントがうまくいくのだろうか」というのが、当日まちに着くまでの正直な思いだった。
 そして、小雨降る中、まちの中心でバスを降りると、案の定人通りが無く、本部前に知った顔がちらほらいるばかり。そのうち時間になり、祭太鼓が街なかに響き渡って、太鼓の会場の愛宕座に行ってみると、大人と子供が交じった太鼓の見事な演奏。しかし、雨でぬかるんだ広場には人がまばらにいるばかり。「おしいな〜、もったいないな〜、こんなにがんばっているのに!こんなに迫力あるに!もっとギャラリーがいればいいのに」と思うばかり。
 そんな思いを残して、街なかの他の会場へ。銘仙カフェの首謀者と道ですれ違い、「惜しいねえ、雨もそうだけど、人出が無くて」と声を掛けたところ、「そんなことないよ、いつもより人が出ていてみんな喜んでいるよ」と答えられた!「え゛〜これで〜!?」と思ったが、口には出さなかった。

 で、街なかを回ってみると、路地のBOXartをはじめ、ものすごい量のアートが展示されていることに気がついた。そして驚いた!こんなにもの数の作品が、いったい誰が、いつの間に?と!
 私は、、2003〜2007年に東京北区の十条というところでまったく同じコンセプトの住民手作りのまちづくりイベント「十條遊縁市(じゅうじょうゆうえんち)」のお手伝いをした。街なか全体でイベントをしよう!と。十条のイベントも結構がんばったと思っているが、小鹿野のそれは想像を超えるものだった。日頃、歌舞伎や太鼓などの伝統芸能を継承していく中で、いざ!まちじゅうで何かするぞ!となると、地域としての人の結集力があるのだと思う。BOXartやモビール、花の一輪挿し(一輪ではないが)など、どのような人々がどのように関わったのか、機会があれば是非聞いてみたいと思う。

 午後からは天気も良くなり、初夏の小鹿野の街なかに人がだんだん増えてきて、着物姿で歩く人も見られ、古い町家と着物が風情を高めていた。和菓子屋で「つとっこ」というちまき状のものを見つけて店に入ったところ、店のご夫婦に胸に提げた一眼レフを見ながら「遠くから来られたのですか〜」と聞かれ、店に貼ってある路地ST.のポスターを示しながら「東京からです」と答えたら、「ありがとうございます。今日はカメラを提げた方が多くてびっくりしています。」と言われて、初めて気がついた。いわゆる第二の人生に突入した高級カメラに高級レンズをつけた人々が、街のあちこちにいることを。「着物でまちを歩こう」のコピーに誘われたらしい。どこで、情報を仕入れたのだろうとスタッフと話したら、町の人でブログをやっている人たちが、路地ST.のことをばんばんブログにアップしてくれたとのこと。こんなところにも、地域の結集力というか、郷土愛というのか、見事に発揮されていることを知ったのだった。
 ちなみに、「つとっこ」とは、餅米と小豆を若い栃の葉でちまき状に巻いてゆでたもの。味は基本的にはついていないのでごま塩を掛けて食べるもので、ちまき状の赤飯といった方が解りやすい。栃の葉が柔らかすぎず硬すぎないこの時期の食べ物とのこと。ちょっと栃の葉の匂いが強すぎるきらいはあるが、これが結構うまかった。実は2004年に、前述した十條遊縁市のイベントの協力依頼に小鹿野町と2005年に合併した両神村に訪れたことがある。その時、村長さんや産業課長うさんに、「両神村の素朴な料理はありませんか」とおたずねしたところ、特にお答えいただけなかった。東京の区部に住んでいるものにとってこの「つとっこ」のような食べ物は、赤飯と言えばそれっきりであるが、物珍しく、東京を離れたという気持ちをさせてくれる食べ物だと思う。

 今回、メインストリート沿いの店舗では、家のお宝の展示などでイベントに協力してくれている店も多かったが、ワゴンセールのようなことをしている店もあったように記憶している。(実は、年中やっているのかも知れないが)しかし、店頭に店の人が出ているところは少なかった。せっかく、お宝展示やワゴンセールをやっているのだから、店頭に店の人が出てきて、町の人や来訪者とコミュニケーションを取ってはいかがだろうか。
 クラフト市などの出店は、当然いずれも人が張り付いているし、中には椅子やテーブルを用意している出店もあり、そうした店の前には人が何人か溜まって話をしている光景がいくつも見られた。中心市街地の活性化は、建物やアーケード、道路舗装やイベントだけではなく、実はこんなことから始まるのではないか。テーマパークもショッピングセンターも今苦心しているのは、リピーターを如何に勝ち取るかである。そのために効果がある一つとして、さりげないホスピタリティがあるのではと思う。街なかでのさりげないコミュニケーションの中で、季節の情報などちょっとした心遣いがうれしいものである。
 主催者の路地まち勉強会の高橋会長も町長も来年も開催すると表明している。この取り組みをつなげていくことで、小鹿野の街なかがまちの人々にとって身近な愛すべきところとなることを望む。

 長々と、編集後記を書いてしまったが、最後に路地ST.を開催してくれた小鹿野の全ての皆さんに感謝したい。そして、コンサルタントの猪瀬氏、県庁の各氏などの全ての関係者に感謝したい。こうした愛すべきイベントの冠を路地協のイベントとしてくれたことにである。
 路地ST.の懇親会で、地元の皆さんに「ありがとう」と声を掛けられた。しかし、路地協は共催団体として名前を連ね、会員にイベント情報を配信し、ホームページで広報しただけである。路地協は、口は出さないが、お金も出せない団体である。小鹿野町の新しい一歩の背中を押すことに少しでも役立てたのであれば幸いである。

 小鹿野の皆さん、路地ST.成功おめでとうございます。そして、ありがとうございました。
関連ページ
小鹿野町 路地協
小鹿野町ホームページ 路地協路地ST.(ろじスタ)ページ
小鹿野町路地ST.(ろじスタ)ページ 路地協路地ST.2009in小鹿野ページ
小鹿野町路地ST.(ろじスタ)報告ページ 路地協「おがの路地まち勉強会」ページ(小鹿野町の概要)
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