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 00:都内にも山はある
※このコラムにおいて「都内」とは、概ね23区の範囲を言います。
2021年夏 今井晴彦
都内にも山はある

 高層ビルが乱立する東京、どう見ても景色の中には山は出てこない。
 しかし都内にも山はある。なぜなら、山の定義は無いからで、しかも昔から〇〇山といってきたところは数多い。ちなみに国土地理院は全国の山の標高リストを作成しているが、一番低いのは仙台市の日和山で標高3m、大阪の有名な天保山は3.6mであるから、標高によって山かどうかが決まるわけではない。さらに、山地とは「地殻の突起部を言い、総括的な意味を持つもの」というなんだが良く分からない定義を出している。
 ようするに、周囲よりも突出するように高く盛り上がっていて、地面に置かれたお結びのようなものが一般に山と認識されている程度であろう。
 都内の山の標高

 都内で一番高いのは、自然地形の山であれば、愛宕山の25.7mで、三角点もおかれている。だいたい一番高くてこの程度、武蔵野台地が張り出している所では、たとえば我が家は新宿区の大久保だが約30mはあって、山のほうが低いのだ。となると台地の上には山はないのかもしれないが、低い台地もあるので分からない。標高はむしろ低さを競わないと山として差別化できないような塩梅。
 では、自然地形で一番低い山と一般に言われるのは待乳山で、9.99mの標高である。これはかつて海に面した低地にあり、周辺に高いところもなく突出しているため、山と認識されやすい。
 また、都内はさすが人工の山が数多くあることが特徴となっている。すなわち江戸時代から流行った富士塚、大名庭園の築山などで、これに加えて古墳だったものもある。こちらの最高の山は新宿区戸山公園内にある箱根山で、44.6mの標高を誇り、都内最高点であると山頂にも標識がある。
1.自然地形の山

 都内の自然地形としてある山は、多くは台地の端に位置していて、下から見ると高いが、台地の上を歩いてくると、気が付かないような所が多い。台地も沖積平野に近いほうは標高もあまり高くなく、結果20mくらいの山が多くなっている。
 そのなかで、富士山のように周辺から突出した姿を持つものは、待乳山、飛鳥山、愛宕山くらいで、見物にいってもあまりありがたみがないのが残念である。果たして山といっていいのか疑問のものも多い。
 沖積平野や海岸線から見ると確かに小高い地形が見えるのだが、いってみるとその後ろに丘陵が広がり、そちらからは高い所でなない。時にはその後背地のほうが標高は高い。だいたい山頂がどこかは、愛宕山とか飛鳥山を除けばあまりはっきりしない。台地の端であれば、ほかにも代官山とか西郷山、御殿山、お留山とか他にもいろいろあるのだ。
 なお古くからの山は寺、神社と一体になっているものもあるが、台地の端のような山は公園になっているものも多い。

出典:「林先生の初耳学」MBS/TBS スタッフ作成による
 
つづく
 
著者略歴
今井晴彦(株式会社サンプランナーズ代表取締役)
東京大学都市工学科卒。
都市計画コンサルタント会社を設立し、国内外の地域振興、都市計画、観光計画、まちづくり等を行っている。(株)アルメック技術顧問、諏訪市政策アドバイザー(非常勤)、全国路地のまち連絡協議会世話人、地域振興アドバイザー(国土交通省)などを務める 。
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